糖鎖とは

細胞表面の糖鎖

顕微鏡で動物の組織を見ると、細胞同士が隙間がなく詰まっているように見えます。しかし、画像を拡大すると細胞の表面は触れておらず、隙間が見られます。

顕微鏡で見た細胞。
糖鎖による産毛のような表面被覆(「糖衣」)を示す細胞の顕微鏡画像

細胞の表面に向かってさらに拡大すると、これらの細胞から突出した産毛のような糖鎖が見えてきます。これらの糖鎖は、細胞の表面に埋め込まれたタンパク質や脂質に結合しています。糖鎖とタンパク質が結合した「糖タンパク質」は、ほぼすべての種類の細胞で見られ、その構造は細胞の種類によって異なります。

細胞膜に埋め込まれた糖タンパク質の模式図

細胞表面に見られる糖鎖は、細胞の識別と情報交換のマーカーとして機能し、細胞の機能に影響を与えています。代表的な例として、ABO型血液型の識別に糖鎖が関与していることが挙げられます。

赤血球上のABO型の糖鎖

糖タンパク質は細胞表面だけでなく、細胞内にも存在し、ほぼすべての生命現象にも関与しています。これらの細胞の糖タンパク質には、それぞれに特徴的な構造や機能を持つ糖鎖が結合しています。

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