糖鎖とは
病気との関わり
糖鎖はさまざまな場面で病気に関わっています。
細菌とウイルスは糖鎖を使用して、宿主の細胞を認識して感染します。一例として、インフルエンザウイルスがあります。インフルエンザウイルスは、鼻、喉、肺の内側の細胞表面タンパク質に結合している特定の糖鎖を認識して感染します。細胞内で増殖した後、新しいウイルスは細胞外に放出され、新しい細胞に感染します。
腫瘍細胞は異常な構造、量の糖鎖を作り、細胞表面に提示することがあります。 この現象を利用した、新しい診断法や治療法の開発が行われています。
糖鎖は、細胞またはタンパク質の状態や種類を示す指標の1つです。外来糖鎖の構造とパターンは、免疫システムによって「非自己」として認識され、免疫反応を活性化します。逆に、「自己」糖鎖構造は、免疫系が過剰に反応するのを防ぐシグナルとして機能します。
糖鎖は抗体の必須成分でもあります。抗体は病原体や感染細胞に結合し、それらを中和したり、白血球が除去するための目印の役割も果たします。抗体に付加している糖鎖構造の違いにより、抗体の標的、結合能力、活性が変化することが知られています。
これらの機能の結果として、糖鎖構造またはパターンの異常な形成は、自己免疫疾患を引き起こす可能性があります。
疾患における糖鎖の数多くの役割に基づいた新薬や治療法の開発は、日々進歩しています。